そんな光景を、潮が遠くから見ていた。



二人の姿が息子と夫の姿と重なり、胸が締め付けられるように痛んだ。




彼女は≪とある理由≫で夫と子供達を置いて家を出、切碕の仲間になった。




仲間と言っても人を殺すことはないし、いたぶったりすることもない。



切碕にとって彼女は安眠枕のようなもので、傍にいるだけで落ち着くから仲間として置いているのだ。




現に切碕は女を殺し終えた後、ベルベットのソファーに座る潮の傍に来て、その膝を枕に眠ってしまっている。



「子供みたいな寝顔ね……」



潮は息子と変わらない年代の姿をしている切碕の髪を撫で、首からかけているペンダントを手に取る。




そのペンダントの中には今は離れている家族の写真が入っている。




大丈夫、あの人と子供達は私が守る……。





目を閉じて、ペンダントをぎゅっと握り締める。