変な夢なんてものじゃない。 場所はロンドンで息絶えた女の人の遺体。 不快な匂いが充満する周りに、俺の手に握られていた血塗れのナイフ。 今思えば、あの臭い匂いは血の匂いだったのかもしれない。 血の匂いもナイフを握る感覚も見ていた景色も全てがリアルだった。 それに、あの夢を見たのは初めてのはずなのに、女の人が倒れている姿を見るのは初めてのように思えなかった。