まあ、傷付くくらいならやるなって話なんだけどね。
「まあ、楽しいですよ。でも、俺からすれば、アリスさんの日常も楽しそうですけどね」
アリスさんは常に楽しそうだ。
昨日や朝だって、なず姉を散々いじり倒していたし、食べ物だって美味しそうに食べている。
楽しいというか幸せそうだ。
すると、俺の言葉に彼女の顔から笑みは消えた。
「……楽しいよ。でも、楽しくない。──彼がいないから」
うつ向き気味に呟いた彼女の声は弱々しく、心配になって顔を覗き込んだ。
俺は覗き込んだことを、楽しそうだと言ったことを後悔した。
さっきまで笑っていたはずの彼女が静かに涙を流していたから──。



