わたしはきみに
ただ、好きって言いたいだけ。
でも、それがひどく難しいのは、どうしてなんだろう。
「また窓の外見てるのね。何かあるの?」
翌日、珍しく早起きしたお母さんが、窓にへばりついているわたしに声をかけた。
わたしは静かに首を横に振る。
ううん、何もないの。
だって、今日は晴れちゃったんだもん。
快晴、とまではいかないけれど、雲と雲の間から見える空は青色で。
雨はひと粒も降っていない。
がっかりだ。
今日こそは、きみと話したかったのに。
……あぁ、そうだった。
三日連続できみに会えていたから、忘れていた。
きみは、雨の日にしかバス停にやってこない。
それ以外の天気の日は、自転車でわたしの家の前を颯爽と通り過ぎてしまう。



