この船団は運がよく、あの潜水艦の後ほとんど敵と遭遇しなかった。遭遇しても機転を利かせ上手く逃げ切っていた。

あともう少しで本土に着く。戦果と満載の資源を届けるのを早くも楽しみにしていた。

今日は少し雲が多い。こんな日は特に出てきてほしくない。そう思いながら今日も空を見張る。
嫌な予感がする。そう思った直後、輸送船が爆撃された。船体が真っ二つに折れ、真っ黒な煙をあげて沈んで行く。

すぐに攻撃を開始する。

「くそっこの前より多いぞっ!」

しかも、二手に分かれて行動していた。遠江に攻撃する方と、輸送船を狙う方だ。
吉野は輸送船の方についていき攻撃する。

お前らに付き合ってる暇は無い!

急降下してくる爆撃機を二十五粍機銃で迎撃する。空に黒く丸い煙が点々と見える。黒くなっていく空が激しさを表している。

吉野の方ではニ隻撃沈された。これ以上沈ませるわけにはいかないと、海防艦とともに攻撃する。吉野は対空火器も強化されている。冷静に判断し、命中させていく。

一機撃墜した!そう思った時、第一号海防艦から爆発音が聞こえた。後ろの方からあっという間に沈んでいく。燃える音、叫び声が聞こえてくる。

救助しなければ……しかし、敵機は攻撃を続ける。吉野も沈んでしまうということになったら……

沈んでいく海防艦に機銃掃射する。乗組員がこの機銃掃射の犠牲になる。

「どれだけ弾を使っても構わない。絶対に撃墜しろ」

三土地の言葉によって飽和攻撃が始まる。側にいた海防艦第三号と五号が救助しているのを守る。
突然の飽和攻撃に驚いた敵機を撃墜していく。全機撃墜したのを確認し攻撃を止める。火薬の臭いはなかなか消えなかった。