「美愛」



蒼生がいつもよりも低い声でそう言った、その日は、雨が降ってた。



私に残された時間は、あと一ヶ月と少し



もう動くこともままならないで、だけど蒼生には私がガンだって言えてなくて……




「ん?」




「奏空…に言った」




「美愛が入院してるって」




「な、んでっ……?!」




「俺さ……やっぱり好きな人には幸せになってもらいたいんだよ」




「わ、たしはっ!蒼生を選んだ……っ!」




「けど、今でも今までも、奏空のことを忘れた日はなかっただろ?」




「……っ!」




ほら、やっぱり蒼生は全部わかってたんだ



分かってて……自分は傷ついても、平気なふりして……