ついてない。


ついてないけどさすがにこのままにしておくのも…嫌な気分だ。



一人で運べるかな…

でもユナ待たせるとそっちも怖い。




だれか呼びに行った方がいいかな。

ここに来るまでに誰かいたっけ。



保健室に運ぼうか運ばないか迷っていたその時、ガサリと木の陰、男の子の後ろから別の男の子が顔を出した。




こっちも薄汚れた制服。

白いワイシャツがところどころ茶色と赤だ。





喧嘩か。

それともいじめか。




派手にやらかしたことだけがわかって、だけどすぐにどうすることもできなくて、ただ突っ立ってるしかできなかった。


昼間のおひさまが影を照らして、出てきた男の子の赤茶色の髪がきらりと光る。


逃げ腰になったあたしに向こうも気がついたのか、ばっちり目が合った。





動けない。




鋭い視線が突き刺さって、逃げようにも逃げられなくなってしまった。


しばらく続くのは沈黙。

相手も何も言わない。