「うるさい、性格ブス」
『わーお、湊ってば攻めるね』
こういう時、思ったことがすぐに口に出るから良い。
ありのまま、文句をぶちまけられて、スッキリする。
「なっ、な!!」
すると、女子は口を金魚みたいにパクパクさせてショックを受けていた。
「おい、調子こくなよクラスで浮いてるくせによ」
そう言って、男子が私の前にやってくる。
そのまま胸ぐらを掴まれそうになった。
あっ……殴られる!?
こ、怖いっ……。
『湊!!』
「真木さん!!」
早織と、毒島さんの悲鳴が重なる。
その瞬間だった。
「調子こいてんのは、お前じゃね?」
「なっ、か、海斗!?」
私の胸ぐらに伸びた男子の腕を掴んで、薄ら笑いを浮かべる海斗が現れる。
それに、男子は戸惑うような声を上げる。
「え……海斗……?」
えっ、海斗がどうしてここに……。
っていうか、私のこと助けてくれたの?
驚いていると、海斗はチラッと私を見て、安心させるようにフワッと笑った。
――トクンッ。
あ……すごく、優しい顔。
こんな顔もするんだな、海斗……。
心臓が見たことの無い海斗の表情に高鳴った。
そんな私に気づかないまま、海斗は男子へと視線を戻す。
「お前ごときが、こんな最高な女、口説けるとか思うなよ?」
さっ、最高な女って……私のこと!?
何言ってるの、海斗はっ。
「なっ、でも真木だぞ?顔は良くても、変人……」
「へー、この腕よっぽどいらないみたいだな」
そう言って黒い笑みを浮かべると、海斗は男子の腕を強く握った。
ギリギリと、嫌な音が鳴る。
海斗のこんな怖い顔、初めて見た……。
もしかして、私のために怒ってくれてる?