6月の中旬、ついに梅雨の時期がやってきた。
ザァーザァー鬱陶しいくらいの雨に嫌気がさす。
『んー、覇気が無いねぇ、湊ってば』
「だって、雨嫌い」
ジメジメして湿気が気持ち悪いし、髪はクルクル跳ねるし……。
『雨が降らなきゃ、地球は乾いてしまうんだよ!』
「はいはい」
『水がなければ生き物は生きられないのだよ!』
「……なに、きみは誰なの?」
環境保護係の回し者かなんかですか??
そんなくだらない話をしながら、どんよりとした気持ちで廊下を歩く。
3限目の音楽の授業のために、音楽室に向かっているのだ。
「おーいブス島、お前が歩くと地響きがうるせえーんだよ」
すると、目の前でまた不快な光景が見えた。
廊下のど真ん中、まるで見世物みたいに数人の男子と女子が、うちのクラスの毒島さんに悪口を言っている。
「ブスは視界に入らないでくれるー?」
「目が汚れるからっ、アハハッ!」
「ご、ごめんなさい……」
体型が少しポッチャリしてるだけで、そこまでやるか……。
しかも、毒島さん謝っちゃってるし。