「遥が生きててくれて、本当に良かった……」
すっかり安心しきって、思わずまた涙がこぼれた。ベッドの上にシミができていくのに気づいて、慌てて涙を拭う。
本当に、どうなるかと思った。少し走ったくらいで倒れるなんて、命に関わるかと思った。
何度かこんなこともあったけど、その度に同じ気持ちになって胸が締めつけられる。
「心配かけてごめんね。……あと、避けたりしてごめん、琴」
「ううん、私もだよ。でも……また一緒にいても、いいかな?」
避けていたのは遥だけじゃない。家でも学校でも顔を合わすタイミングはたくさんあった。
それでも話そうとしなかったのは、近づこうとしなかったのは、私も同じ。
いくらこの関係を断ち切るためとはいっても、私達は少し道を間違えてたんだ。
こんなことする前に、お互いの気持ちをぶつけ合えば良かった。言えなかったことを打ち明けて、自立しようとすれば良かったんだ。



