「お題、尊敬してる人だよ。知りたかったんだろ?」



あぁ、もう。なんで桜庭くんには考えてることがわかっちゃうのかな?



しかも、尊敬してる……だなんて。何を尊敬してるのか検討もつかない。




「いつもひたむきに頑張る姿、尊敬してる。……てか、それ以前に琴葉は俺にとって大切な人だからさ」



大切な人……。なんだか違う意味で捉えてしまいそうになり、慌てて首を振る。



違うよ、桜庭くんは何気なく言ってるだけなんだから。私ってば何を誤解してるんだろう。




「はは、また百面相してる」



「……ありがとう、桜庭くん」




何に対してかはあえて言わず、伝えたいことだけ伝えた。桜庭くんはそれだけで悟ってくれたのか。



「おう」



そう言って、はにかんで笑ってくれた。