「え、琴葉ちゃん……こっちに来てない?」
言葉をこぼす前に、目の前に桜庭くんが現れた。時間が止まったかと、思った。
「────琴葉、来い!」
桜庭くんに手を掴まれて、一直線にゴールへと向かう。めでたいことに私達が1位。
「ありがとな。協力してくれて助かった」
そう言ってニカッと笑う彼だけど、私にはそれ以上に知りたいことがある。
こんなこと聞いたら、笑われちゃうかな。でも、桜庭くんは言ってくれないから知りたいし。
「尊敬してる人」
「え?」
ふいにそんなことを言われて顔を上げると、得意げに笑う桜庭くんの顔があった。



