木陰で寄り添いながら話すふたりは、本当に絵になる。遥も我が弟ながら、整った顔立ちをしてるし。



どちらも女子から人気があるから、ほら……私の他にも釘付けになってる女子がたくさんいる。




……あ、桜庭くんがその場を立ってあとにした。残されたのは遥だけ。



そうだよね、遥は体育祭には出られない。本当は運動が好きなのに、体がそれを拒絶するから。



過度な運動をしたりすると、すぐに貧血を起こして倒れてしまう。昔そんなことがあって以来、体育の授業も参加しないときがある。




遥、大丈夫かな。ひとりで辛くないかな、寂しくないかな。



なんて、私が心配する必要はないってわかってるんだけど、どうしても気にしちゃうんだ。




「遥生くんが気になるの?」



「麻莉奈……」



不安そうな目に気づいたんだろうか。麻莉奈がそう声をかけてくれた。