「じゃあ、遥生くんのことが嫌いなの?」
「ううん、そうじゃない……」
首をブンブンと振って否定すると、麻莉奈は不思議そうな顔をした。嫌いじゃないならなんで避けてるの、とでも言いたいんだろう。
麻莉奈には、簡単にでも話した方が良さそうだ。
「私ね、今まで遥に頼りすぎてたんだ。だから、少し離れてお互いに自立しなきゃって」
家族の事情や遥の体調のことは交えずに、簡潔に話す。どうやら麻莉奈は納得してくれたみたい。
何回か頷いて唸り声をこぼすと、急に顔を上げて明るい顔を見せた。
「琴葉ちゃん達が決めたことなら何も言わないけど」
そこまで言いかけると、麻莉奈は私の肩に手を置いた。
「辛いときは私を頼って!約束ね!」
その眩しい笑顔が、とても心強かった。
「うん……!」
ありがとう、麻莉奈。友達という存在がこんなにもあたたかいと、初めて知った。



