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「琴葉ちゃん」



放課後。そそくさと帰ろうとする私の前に麻莉奈が立ちはだかった。



なんて答えればいいのかわからず、黙って目を背ける。




「琴葉ちゃんは、私のことが嫌い?」



いきなり何を言われるかと思ったら……そんな突拍子もないことを尋ねられてしまった。



その目はとても悲しそうで、そんな顔をさせてるのが私だと思うと申し訳ない気持ちでいっぱいになる。




「違うの、麻莉奈のことは好きだよ。でも……」



好きだけど、言えないこともある。好きだから、言えないことがある。



せっかくできた大切な友達にだけは、この気持ちは知られたくない。