「ごめんなさい……。でも、わかってほしい」
「あっ、琴葉ちゃん……!」
もっと詳しく説明しなきゃ。そう思ったけど、これ以上は言えなかった。
だって、今いる私が全て “ 遥のためにつくられた私 ” だなんて知ったら、誰もが引くに決まってる。
遥に依存してるだなんて知られたら、自分ひとりでは何もできない意気地なしだと思われてしまう。
確かにその通り。思われたって文句は言えないけど。
────ふたりには、知られたくないの。
「……意味、わかんねーよ」
そうボソリと呟いた桜庭くんの声を聞き逃すわけなかった。
それでも私は振り向かずに、そのまま屋上から走り去った。



