「村上さん!」



教室中に響くくらいの大きさで、彼女は私に向かって頭を下げる。



ちょ、そんなことしたら、荒井さんが私なんかの友達だと思われてしまう。



というか、この状況は……荒井さんが私に悪いことをして謝ってるみたいな目で見られてる。




「あ、あのっ、顔上げてください!」



負けじと大きな声で言い返すと、またクラス中の視線を浴びる。



しまった。思わず人の目も考えずに自分の中だけで突っ走ってしまった。




そう思いながら慌てふためいていると。



「場所、変えよう」



少し微笑んで、荒井さんはそう言ってくれた。