「でも」
「大丈夫だから……。これは、私の意思でしてることだから」
正当な理由にはなってない。でも、私の伝えたかったことは悟ってくれたはず。
困り顔を見せた遥だけど、珍しく感情をあらわにした私に気をつかって、諦めたらしい。
「これだけは、覚えててね。琴はひとりじゃないよ」
ひとりじゃ、ない……?
そんなの、ただの綺麗事だよ。なんて、真剣な顔つきの遥には言えなかった。
「僕がついてるから。明日からはきっと、大丈夫」
“ 大丈夫 ”
いつからか、この言葉が私達の口癖になっていた。
でも、本当にこの世界に出口なんてあるのかな。暗闇から抜け出す術なんて見つけられるのかな。
わからない。何も見えないけど、この手を握ってれば大丈夫だってことを私はよく知ってるから─────。



