「そう、かもね」
その声に、気持ちなんて一切入ってなかった。
遥のハッとした悲しそうな横顔からは、きっと私の思ってることが伝わったんだと読み取れる。
感情なんて、そんなものはずっと前に捨てた。はずだった。
だから、今更あたたかい感情が芽生えるなんておかしいのに。
どうしても、願ってしまうんだ。
私も、遥や桜庭くんがいるキラキラした世界に入ってみたい。そして、もっと正直な自分で過ごしたい、と─────。
「琴は……ダメだよ。そうやっていつも自分の気持ちを隠して、僕のことばか……」
「やめてっ……」
これ以上、続けないで。
双子だからかもしれないけど、遥の心はだいたい読めてしまう。
それはきっと遥も同じで、私の顔を見ただけで気持ちはなんとなくわかってしまうんだろう。



