「そうなの?昨日も琴を呼んで来てくれたの、浩都だったよね」
「うん」
そう。昨日だって私を呼びに来たのは桜庭くん。
急いでるのが見ただけで伝わってきて、遥のために必死になってるのがわかった。
昨日はこんなこと考えてる余裕もなかったけど、本当に優しいんだなぁって、今ならそう思う。
「僕、浩都には貧血のこと話そうと思うんだ。……琴も、仲良くなれそう?」
なるべく自然に。会話の流れで。当たり前のような笑みをつくって、遥はいつも核心をつくような問いかけをする。
……隠そうとしてるのかもしれないけど、考えてることなんて全部私には筒抜けだよ。
男子でも女子でも、遥は私に “ 友達 ” と呼べる存在ができることを心から望んでくれてる。
きっとそれは遥だけで、お母さんは私のことなんて気にしてないと思うけど。
それでも、そんな遥の心づかいに胸があたたかくなる。そして、それと同時に苦しくもなるんだ。



