「み、みんなとは学校で話したりできるし……」



「それなら、私とは家でずっと話したりできるでしょう?」




いつもと違ってなかなか引かない私にしびれを切らしたのか。



「……うん」



と、微かに笑ってみんなの方を振り返った遥。



そう、これでいいの。私のせいで縛りつけるなんて遥にとっても良くないことなんだから。




「帰りは一緒に帰ろう」



私に向けてまっすぐにそう言ってくれる、それだけで十分なの。



私の居場所は、遥の隣だけだから。ずっと、そう思ってた。




────でも、そんな私の檻を破って入ってきてくれたのは、あなただけだったよ。



それだけで私のモノクロだった心は、簡単に色づいていくんだもの。



そんな出会いが待っていることを、このときの私はまだ知らなかった。