10年愛してくれた君へ

そしてなぜか、主導権は高橋さんが握ることとなり...



「あ!次あれ乗りましょう!」


そう指差す先には、私と河西くんが一番最初に乗ったジェットコースターだ。


「あれは俺らさっき乗「いいね!行こう!」」


私たちの少し前を歩く高橋さん。


河西くんは高橋さんに聞こえないように、隣を歩く私に耳打ちしてきた。



「2回目じゃん、あれ」


「このままじゃかわいそうだもん。付き合ってあげよ?」


「...ったく」



高橋さんが乗りたいというものに付き合う私たち。


はしゃぐ彼女を見ると、妹欲しいなーなんて思ったり。




いくつかアトラクションを乗り、へとへとになった私たちはベンチで休憩をする。


「俺、なんか飲み物買ってくるよ。何ほしい?」


「あ、私は「私オレンジジュース!!」」


高橋さんが私の言葉を遮る。


「お前はいつもそれだよな。鵜崎は?」


そっか、高橋さんはいつもオレンジジュースなんだ。河西くんはそれを知っているんだね。


部活が同じなわけだし、お互いの好みとか知っていてもおかしくないはず。


それだけじゃん、たったそれだけなのに...


どうしてだろう、胸がざわざわする。