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「行ってきまーす」


今日は日曜日。


河西くんと遊園地へ行く日だ。



家を出て駅に向かって歩いていると、春兄の姿が目に入った。


「春兄!」


振り返る春兄は、私を見つけた時目を少し見開き、そしてすぐに細め微笑んだ。


「藍。どっか行くのか?」


「うん、河西くんと遊園地。春兄は?」


「俺は久々にサークルに顔出そうと思って。練習場に行くんだ」


言われてみれば、今日はやけに荷物が多い。


練習着とか色々入っているのだろう。


「そっか!頑張ってね!」


「あぁ。藍も楽しんで来いよ」


「うん!じゃあね!」



春兄と別れ、再び足を進める。


春兄が立ち止まり、一度こちらを振り向いたことには気づかずに...








現地集合で、私が到着したころには既に河西くんがいた。


「ごめん待った?」


河西くんの姿を見つけるなり駆け寄る。


申し訳ないと思い謝るが、河西くんは声を出して笑った。


「あっはっは!そんなダッシュしてこなくていいのにさ!しかもジャストだし」


時計に目をやると、集合時間丁度だった。


「鵜崎はあれだな、お礼癖と謝り癖があるな」


「え?そんなことないと思うけど」


何だか既視感...


あぁ、同じようなやりとりを春兄ともしたんだ。




園内に入場し、近くのアトラクションから並ぶ。

この遊園地の目玉である、高所から垂直に落下する大型ジェットコースターだ。


日曜日ということもあり、列には既に大勢の人が並んでいた。


「ここ、結構敷地も広いしアトラクションの数も多いから、全部乗るのは難しいかもしれないな」


人の多さに圧倒されている河西くんは、グルリと辺りを見回してそう言う。


「そしたら乗れなかったのはまた今度来ようよ!」


「おう!」


そして、ちゃっかり次のデートの約束もしてしまった。