例えば、チョコレートケーキとチーズケーキがあるとして、私が『チーズケーキがいい』と言えば『じゃあ藍がチーズケーキな』と言って私を優先してくれるし、『遊園地に行きたい』と言えば『俺も行きたいと思ってた。父さんに連れて行ってもらおうか』と私の意見に沿ってくれる、春兄は昔からそうだ。


だから春兄がわがまま言ってるところなんて見たことないから、私はたまに考えてしまうことがある。



春兄、我慢していないかな?


自分の言いたい事言えているかな?



私自身が”自分を大事にする精神”で生きているから、他人を優先している春兄はたまに苦痛に感じてしまうことがあるのではないか...と。


でもそんな素振りとか一切見せないから私の考え過ぎかな?






「春兄大学もう始まったんだっけ?」


「いや、俺は明日からだよ。と言っても就活の年だから、あまり授業は出れないと思うけどな」


「そっかー春兄も就活かぁ。忙しくなるね」


「藍も受験だろ?大学に進むんだよな?」


「うん、他にやりたいこととか特にないから、とりあえず進学するつもり」



そう、あの熱血教師黒山の下で”受験生”という看板背負って1年を過ごすのだ。


なんという息苦しさだろう。