「ポップコーン買うだろ?あと飲み物、何がいい?」


売店まで足を運び、少し離れたところでメニューを見上げる。


「んー...ポップコーンは塩味で、飲み物はメロンソーダがいいなぁ」


「え、女ってキャラメルポップコーンじゃねぇんだ?」


不思議そうに私を見ながら言う。


「私は塩味がいいの!」


偏見だよ河西くん。


私、キャラメルのあの甘ったるい感じが苦手なんだよね...


「ははっ、面白いな鵜崎は」


「え、そう?」




河西くんがレジで注文し、商品を受け取る。


自分の分のお金を渡そうと、あらかじめ出していた財布を開くが、河西くんに財布を取り上げられた。






「あっ」


「いらない。俺のおごり。な?」


そう言って高いところに持ち上げていた私の財布を差し出した。



「あ...うん、ありがとう!ごちそうさま」



彼氏彼女みたいなシチュエーション... いや、彼氏彼女なんだけど、恥ずかしい!!


自分の恋愛経験の無さを痛感する。








映画は思ったよりも感動的なもので、隣に河西くんがいるのを忘れて号泣していた。



「あれ、河西くん...?」


エンドロールも流れ終え、館内に明かりが灯され、隣を振り向く。


「うっ...よかったな...彼氏が無事でっ」


河西くんも大粒の涙を流していた。




初デートは大満足に終わった。