「よろしくお願いします!いやー聞いてた通りのイメージっす。めちゃくちゃかっこいい」


「いやいや、そんなことないよ」


「そんなことありますって!!」


気づけば河西くんは春兄の両手を取り、目を輝かせながら春兄を見つめていた。


春兄の方が少し背が高いから、河西くんが見上げる形になる。


河西くんの圧に春兄は困惑気味だが、こういうフレンドリーで明るいところが彼の魅力だ。


「面白いね君」


「ありがとうございますっ!」


ようやく手を離した河西くん。


春兄はカバンを私に差し出した。


「じゃあ、俺はここまででいいかな?河西くん、藍を頼んだよ」


「はい!任せて下さい!行こうぜ鵜崎」


「う、うんっ」


何だか…娘を任せたよみたいな感じ?


娘さんを下さい!みたいな感じ?


いやいや!何を考えてる鵜崎藍!



「じゃあね、春兄!午後から面接だよね?頑張ってね!」


「あぁ、ありがとうな。藍も勉強頑張れよ」



春兄に別れを告げ、河西くんと並んで歩き出した。


「かっこいいな、春兄さん。なんか、大人って感じ」


「うん!そうでしょ?頼りになるんだー春兄」


「鵜崎は…好きなのか?」


「え?」


キョトンとした顔を河西くんに向けると、恥ずかしそうに頭を掻いた。


「いや、その…春兄さんのこと。好きなのか?」


「好きだよ!私一人っ子だから、昔からお兄ちゃんみたいな存在なの。だから大好き」


「そっか。そういう好きね」


「…うん?」


「何でもない!気にしないでくれ!」