「あの子絶対あんたに気があるって」


「え、高橋が??ないない!妹みたいな感じだから」


充希の言葉に慌てて両手を振って否定する河西くん。


「片方がそう思っても、もう片方はそうとは限らないのよ。ね?藍」


急に話を振られた。


「え、そうなの?」


「はぁ」


そして充希にため息をつかれる。


「じゃあ俺帰るわ。またな」


「バイバイ河西くん。充希も帰ろ」




帰り道、しばらく無言が続いていたが、充希がそれを破った。


「で、どうするのよあんた」


「え、何が?」


「あの女子サッカー部よ。ありゃ確実にあんたのライバルね」


まぁ、気になるかって言ったら気になるけど…


河西くんだから、女の子の友達なんてたくさんいるだろうし。


「気にしすぎるのも良くないかなーって思って」


「呑気ね〜」


「そうかな?」


「ま、これから一波乱二波乱ありそうね」



まるで全てを知っていると言わんばかりの口調だ。


充希の言葉が気になりながらも、それ以上この話に触れることはなかった。