「麻友ちゃん、マジでキレる」


早朝の社長室。

親父が外出中の為、俺は麻友ちゃんと二人きり。


相変わらずの机の上の山積みの資料。連日の疲れとアルコールで体は限界だった。

でも俺が本気でキレる理由は別のところにある。


「え?だめよ」


あっけらかんとした笑顔の麻友ちゃん。

って、おい。


「んな可愛く言っても無駄だ。とっくに俺は活動限界越えてんだよ!」

「それだけ叫ぶ元気があるなら大丈夫ね」

「ふざけんな!」

「ふざけてなんているわけないでしょう。これが約束だったはずよ。それとも、結婚する気がなくなったのかしら?」


澄ましながら麻友ちゃんは俺を見つめる。


少しでも文句を言うといつもこれだ。だけど今回はこれで流されるわけにはいかない。