「大丈夫だっての。いいから早くしろ。ほら、祖父ちゃんの秘書が迎えに来たぞ」

「う゛。」


ききき緊張が、半端ない!!


お祖父さんの部屋に着くまで、足が宙を浮く感覚で記憶があまりない。


それはきっとエレベーターがどこまでも上昇していったせいじゃない。


何階かわからない程、エレベーターが到着するまで時間がかかった。

でもでも、きっとそのせいだけじゃないの!


つわりが治まってきたというのに、緊張のせいで気持ちが悪い。軽くパニック状態で部屋に到着。


中に入ると、だだっ広く全てにおいて高級に思える室内にひたすら圧倒された。


「祖父ちゃん久しぶり」

「遅い!!」


──!!


おぼつかない足取りで歩みを進めると、目に飛び込んできたのは、見るからに高級感溢れるソファーにふんぞり返るように座っている、軽く裏家業でもやっているんじゃないかという風貌のお祖父さん。


その姿もさることながら、豪快な声、手には葉巻。頭部には髪の毛は一本も見あたらず、それでも鼻の下には立派な髭が生えている。


威圧感はお父さんと同じくらいあるけど、真逆のタイプだわ。いやもうマジであっちの人なんじゃ……。


「こら、葉巻は消せよ。妊婦がいるってのに」

「あ、悪ぃ。お前らが来るのが遅いからじゃ!」


元気だな~。迫力ありすぎ…。

このしゃがれた声は酒やけですか?