『お前、いつになったら莉乃さんに聞いてくれんだよ』

「げ、忘れてた」

『おい』


完全に頭から消え去ってたわ。先輩からの電話でようやく思い出した。


「わり、今聞くから」

『お前…』


文句を言われる前に電話を切る。

くそ、面倒くせぇな。


「華乃、お前の姉ちゃん彼氏いんのか?」

「え、お姉ちゃん?確かいないはずだけど……まさか龍成……」

「ん?」


なんだ?いきなり変な顔しやがって。


「わたしと結婚したのはお姉ちゃんに近づく為?」

「はあ?!」


何を考えてるかと思えば、言うに事欠いて「姉ちゃんに近づく為」?!

マジで馬鹿だなこの女!

ありえねぇにもほどがあるっつーの!


「学生の頃はよくいたんだよね。お姉ちゃんに近づく為にわたしと仲良くしようとする男子。まさか龍成まで」

「ふ ざ け ん な」