ピピピピピッ



「ん゛……」



目覚ましのような音が聞こえ目を覚ます。



……寝る前に目覚まし時計らしきものは置いてなかったはずだけど……


寝ぼけた目で辺りを見回すと近くにあったテーブルの上に折り紙の鶴が置いてあった。


鶴……



「紫苑だ!!」



コンコン



「はーい!」



ガチャ



「失礼します。……すごい嬉しそうですね。どうしました?」



「ちょっと私紫苑の所行ってくるから!何かあったらこれに魔力流してね!じゃ!」



「あい、」



きっと起こしに来てくれたであろうアランに、同じような折り紙の鶴を渡して、転移した。



「紫苑!!」



「うるさ」



直接紫苑の元に行くと、そこには仕事をしている紫苑がいた。



「何してんの」



「仕事」



「透さん?」



「止めましたよ」



近くで呆れたように立つ透さんを見るとその言葉は本当のようだ。


なんだかイライラしてきたので頭を引っぱたいた。



「いって!!何すんだよ!!」



「血だらけで倒れて心配してたのに何で仕事してんの!?馬鹿なの!?」



「仕方ないだろ!!スケジュールが押してんだよ!!」



「何で紫苑は周りの人を頼らないの!?私達まだ17歳だよ!?まだ立派な子供だよ!?1人で全部できると思わないでよ!!」



何故か涙が出てきた。


ずっと過労で倒れてしまわないか心配だった。


国王になってからずっと机と向き合って、話しかけても最初の方は返事すら返ってこなくて。


途中1人で魔王の所に乗り込もうと思ったくらいだ。


でも、やっぱり怖くて疲れている紫苑を連れていったら、まさかの血まみれ。


そして久々に見た紫苑はまた仕事。


どれだけ心配をかけたか分かってない紫苑に腹が立った。


そして、好き、と言ったことを忘れたかのように平然と仕事をする紫苑を見て悲しくなった。



「ずっと悩んでた私が馬鹿みたい……紫苑なんか嫌いだ、バーカ!!」



むしゃくしゃした気持ちを一旦落ち着けたいのと、泣いた顔を見られたくなかったので部屋を出ようとドアに手をかけた時、何かに包まれた。