「大丈夫ですか……?愛凛様」



「うん、大丈夫」



みんな気が済むまで攻撃をして帰っていった。


多分もう2時間は経ってるんじゃないかな。


それだけ魔法を使っても、魔力切れにならないのは、さすが魔族、とでも言うべきか。


だけど、まだ2時間。


紫苑が目覚めるのはまだまだ先だ。


ちゃんとした治療を受けたらあれくらいの傷は半日で完治するはず。


でも寝ないでずっと働きっぱなしだった紫苑は、目が覚めるのにもっと時間がかかると思う。



「どうしよう……あ、戦う?」



「何を言っているのですか!!」



「あれだけの人数、1人で対処しておいてまだやる気ですか!?」



「早くお休みになってください!!」



「って私達に言われても説得力ありませんよね……」



急に熱くなって急に落ち込むのやめてくれないかな。


私、温度差についていけてないんだけど。



「今までのご無礼な態度をお許しください」



「人間、という生き物は皆同じ。皆魔族の事を敵だと思い、攻撃してくるものだと思っていました」



「だけど、本当は前の魔王様より私達のことを考えてくれていました」



「私達は貴方様についていきたいと思います」



みんな頭を下げた。


やっぱり魔族だって良い人はいる。


人間だって魔族に対して偏見だらけだよ。


野蛮ですぐ人を殺したがる、なんて嘘ばっかり。



「私使えるものはとことん使いまくるからね?」



「私達のことも思う存分使ってください」



「よしよしよし!じゃあ私のことは呼び捨てね」



「何を仰っているのですか!?」



「そんな無礼なこと私達には出来ません!!」



「今更感すごいけど」



「そ、それは……」



言ったよね、私。使えるものは使いまくるって。



「っていうか新入りな私が威張っているのが問題なのか。数々のご無礼を……」



「おやめ下さい!!魔王様とある方が私達に頭を下げるなどあってはならないことです!!」



こいつら予想以上に面倒臭いぞ。