「あなた達は何故そうやってすぐに諦めるんですか?」



「諦めるも何も……!」



「昔はみんな仲が良かった。その仲を壊したのは人間。……だからこそ同じ人間の私が、私達が動くべきだと思ってる。人間にも魔族にも良いところがあって、協力すればきっとこれ以上に世界は発展する」



みんな小さい頃から放送は聞き逃すな、と教え込まれていると本を読んで知ったが、それは本当だった。


それを利用して話し続ける。



「第一その方法以外にどうやって貧富の差を無くすの?あなた達は一部の人間が幸せなら同族の人が死んでいっても構わないの?そんな考えを持つ魔族と、みんな幸せ、を目指す人間なら、人間の方が良いって思わない?」



みんながやっと私の顔をちゃんと見てくれた。


今まで見ているようでどこか別の所を見ていたから。



「力が全てなら私があげる。仕事が無くてお金が無いなら私が仕事を作る。でも、その第一段階としてみんなに認められる必要がある。だから気の済むまで私を攻撃すればいい!!」



そう言ってトランシーバーもどきをニーナに返して微笑む。



「どこからでもおいで?ただし、四天王には手を出さないこと!」



「愛凛さ、」



「うぉぉぉお!!」



「弱い弱い!次!!」



どんどん繰り出される魔法を交わし続ける。


ごめんね、みんな。


私みんなを利用してるの。


こうやって何かをしてないと胸が苦しいの。


紫苑がいなくなったらどうしようって不安なの。


そして何より、紫苑が愛しいという気持ちが溢れて止まらない。


私は弱いから、1人でどうすることもできない。


だからもう少しだけ付き合ってね。