「それより恋人さん?のお見舞いに行かなくて良いんですか?」



ザックが鼻で笑いながら言うから私怒っちゃった。



ドンッ



当たっても火傷くらいで済む威力の弱い火球を掠らせる。



「あのさ、どの口が言ってんの?約束を破った側が偉そうに言わないでくれる?それに、あんた達ごとき紫苑は10秒もあれば殺せるのにそれをしなかった。……魔族は力が全てって聞いたんだけど?……弱いやつが調子乗んなよ」



さっきの何倍も殺気を込めて笑顔で言う。


四天王は血液回ってる?と言いたいくらいに真っ青だ。



「……今私が行っても何も出来ない。何も出来ない私がそばにいたって邪魔なだけ。なら、ここで出来ることをやらないとね。ほら、来たよ」



私達が今いるのは前魔王が死んだ部屋。


基本的に戦いはこの部屋で行われるらしい。


放送を聞いてお怒りの魔族達がたくさん流れ込んできたのだ。



「ま、待ってください!!最大5人までです!!」



必死に止めようとしているのは受付の女の人。


四天王も慌てて止めようとしているけど、それを止める。



「いいよー!全員入って!」



「愛凛様!?それは無茶です!!」



「無茶じゃないよ」



抑えるのも限界が来たようで一気に人が流れ込んでくる。



「ふざけるな!!」



「人間が魔王になるなんて許せない!!」



「人間と魔族の共存なんて無理なのよ!!」



「あなた達は!!」



ブーイングの嵐が巻き起こった。


それを私はトランシーバーもどきを再び貰って話し始める。


みんなマイクを持っているから、嫌でも聞こえてしまうので、静かになって聞く姿勢になった。