「 … 俺は慎一 。22歳で 大学生 。」

… 大学生なんだ … 。
慎一 くん … 。
なんて返せばいいんだろ 、大学生だもんね 、大人の会話だよね 、えっと 、…

「 ふ 〜 ん 、童貞 ?」
「 ブッ?!」

何聞いてんの私?!
慎一くん 吹いちゃったよ?!

「 おま 、中学生のくせに ど 、どどど 童貞 … ?!」

… この反応は …

「 童貞なのね 。」

多分 。

「 ちげェよ!!」

あ 、違った 。
あれかな 、

「 嘘つきの 見栄っ張りね 。いいわ 、そういう事にしとくわ 。」

なんだか 大人ぶって 話しちゃったから 、自然と 動作も 背伸びしちゃう 。嫌味に ふふん と 笑って 、差し出されてた 麦茶 を 一口 飲んだ 。

なにより さっきから ずっと気になっていたこと 。
この部屋の 片付いてない所 を 見て 、思ってた事 。

「 独り暮らしなの?童貞 じゃないなら 、女の人の 1人や2人 連れ込まないの?あ 、今連れ込んでるか 」
「 お前なぁ 〜 。女なんか 連れ込むかよ 、それにお前は ガキだろ 。女のうちに入んねぇよ 」

そうかなぁ … クラスでは 大人っぽい 方だと思うんだけど 、…
大人っぽく見えるから … あの男だって … 。

「 … 」
「 … なんだよ 」
「 … べ 〜 つに 。」

考え込んだ顔を 見られたくなくて あたしは そっぽを 向いた 。

「 俺は 一人暮らしだよ 。」
「 … そうなの … まぁ見たらわかるわ 。こんなに 掃除洗濯 が 出来てないんだもの 。」
「 うるせぇよ 」

やっと 普通に話せるようになってきたかも 、久しぶりだな 、男の人と 、こんな風に 普通に話すなんて 。

「 お前ん家 どんだけ 片付いてんだよ 」
「 なによ 私の家はね … 。… 」

私の家は … 。

『 莉佳子 』

「 … 」
「 … なんだよ 。」

やだ 、私の家なんて 、
やだ 、聞かないで
やだ 、知られたくない
私が 汚れてるなんて
慎一くんに
私に 手を差し伸べてくれたこの人に
知られたくない 。
やめてお願い 聞かないで 。
良い思い出で 終わらせて …!!

「 … 親父さんは 」

『 莉佳子 おいで 』

「 … っ 、うるさいわね!!なんなのよ さっきから!!私の事なんて どうだっていいでしょ?!」
「 な 、なんだよ 急に 」

思わず 立ち上がって 慎一くんを 怒鳴りつけてしまった 。
でも これ以上は
これ以上 は 聞かれたくなかった 。
たとえ怒鳴ってでも 泣いてでも
言いたくないの 。

「 落ち着けって 」

『 莉佳子 おいで 』

「 うるさいわね!!わかってるわよ!!!」
「 いや全然わかってねーじゃん … 」

わかってるよ
わかってるけど
頭の中で あの男の声がするの
無理なの 嫌なの
助けて 、落ち着けないの
触らないでよ

「 あんたの目的は 私の体でしょ?!」
「 … はあ?!」

何言ってるの私
違うよ
慎一くんだよ
今話してるのは慎一くん
あの男じゃないよ
違うよ

「 男なんて全部そうよ!!私の体しか興味無いのよ!! 」

全部 じゃないよ
慎一くん は 違ったじゃない
もし 慎一君がそのつもりなら
家に来た時そうされてるよ
指1本 触れられてないじゃない

「 お 、お前 ふざけんなよ?! 大体 お前 男なんて全部っていうけどな!!この世の男 知り尽くしてんのかよ?!その歳で?!ガキじゃねぇか!!」