逃げ出してしまった。
「待って!」
呼び止める声を無視して駆け出す。
教室に駆け込んだ時には息が切れていた。
「どうだったの?小春」
あたしがどうなったか気が気でなかったのだろう。
智花に尋ねられる。
「大丈夫だったよー。何もされなかったしぃ」
「それならよかったけど…」
何もなかったと知って智花は少しホッとしたようだ。
でも、あたしは自分がズルイことをしてしまったという罪悪感で同じように笑えなかった。
…いつもより少しダークな気分だったその時。
「おい!小春、今日元気ねーじゃん!」
能天気な声とともに、頭をペシっと叩かれた。
…この声と叩き方。誰かは顔を見なくとも分かる。
「痛いし!」
「うお!お前少しは手加減しろよ!」

