結依さんを見上げると、彼女は慌てて首を横に振った。
「ご、ごめんね?いきなりこんな話されても信じられないよね」
実際にこの目で見たから信じるしかないけど、結依さんの言うことも最もだ。
「それでなんで呼び出したかというとね、記憶を失う前ふっとあなたの顔が見えた気がして…」
あたしはあの場にいたワケだから、気絶する前の結依さんの目に映ったのかもしれない。
結依さんは俯いていた顔を上げ、あたしの肩を掴んだ。
…真剣な瞳で顔を覗き込まれる。
う、うう。こんな美人にじっと見られるとキンチョーするよぉ…
「ねえ、何か知らない?
私このまま忘れたままではいたくないの……ホントにずっと、ずっと好きだったから…」
結依さんの真剣な表情を見るとホントにセンパイのことが好きでそれを思い出そうとしてることが分かる。
「えっと…」
どうしよう。センパイがヴァンパイアだって話す?
智花は信じてくれなかったけど、結依さんなら信じてくれるかもしれない…
でも、話したら…
その時、心の中で黒いものが渦巻いた。
結依さんがもしセンパイのことを思い出したら?
結依さんはもう一度告白すると思う。
ヴァンパイアだと知ってもセンパイを好きなままのはず。
その時、あたしは?
センパイをとられずにいられるのかな?
…自信がない。
自分がズルイことくらいわかる。
あたしってこんなに性格悪かったんだね。
…でも。
「な、何も知りませんっ!失礼しましたぁ!」

