「…私が歌ってた…」
 すると、彼は急に顔を少し綻ばせた。
 「さっきの歌、凄ぇな。なんか、悲しくて、無性に誰かに逢いたくなるような…」
 ツキン、と胸が痛んだ。
 私の気持ちを込めたから。
 会いたいのは、あの人なのに。
 あの人に、届いて欲しいのに。
 「…お前、全然表情変わんないな」
 突然ポツリと彼がこぼした。
 不思議に思って彼の顔を見上げると、少し呆れたように言ってくる。
 「こんな心ない人形みたいに見えんのに、よくあんな歌唄えたな」
 心の無い、人形……
 「…見たこと無い奴だな、お前。
 どこのクラス?」
 私は答えない。答えたところで、何にも変わらない。
 …いや、変わらないんだから、教えてもいいのか。
 「Eクラス」
 すると、彼は心底驚いた顔をする。
 そして、とんでもない事を言うのだ。
 「今も何かの魔法使ってんのに?」
 「?!」
 何で…どうして?
 私が魔法を使っているって…