バレてないんだ。
 …ふふ。なんだかくすぐったい。
 「性はロイだよ。名前は教えない」
 「ロイ?…。ふーん。それより、
 ね、名前教えてよ~(泣)」
 「…。やだ」
 「え~…(泣)」
 そんなルイに、ラナが叱咤する。
 「もう、ルイ、嫌がる女のコに強要するのは良くないよ!」
 「はーい。ちぇー、ラナの友達ガード固い~」
 ぶつぶつ言っていたが、すぐにニコリと笑うと、ルイは手を振って店の奥へと消えた。
 ばれなかった。
 それが、ただただ嬉しかった。
 いつかイアンと会えたときに、
成長したんだよって話そう。
 そう誓った、初めてのショッピングだった。