「チェルシーちゃん!お待たせ」
 ラナの明るい声で、私はハッと現実に引き戻された。
 「良い買い物だったよ。さ、カフェに行こう?すぐ近くなの」
 「……」
 私は黙って頷いた。
 そして、店を出ようと前を向いた瞬間……
 「……っ?!」
 「うわっ」
 トン、と誰かの胸にぶつかる。
 あわててその人に謝る。
 「…ごめんなさい」
 「いーよいーよ。こっちこそ前ちゃんと見てなかったしね☆」
 …?
 この声、どこかで聞いたような…
 そう思って顔をあげると…
 「……あ…」
 ルイだった。
 「?どうかした?」
 「どーしたの?」
 目の前のルイと、後ろにいるラナが声をかけてくる。
 「あ、ラナ」
 「ルイだったんだね、偶然」
 「…この子は?可愛い友達だね☆」
 「……あ、そっか…秘密だよ」
 「え~?酷いなぁ」
 ラナは、上手くごまかしてくれた。
 あの鋭そうなルイも私を見抜けなかったんだ…
 変装は、成功ってことだね。
 少し嬉しいかも…
 「えっと、ねぇ君、名前くらいは教えてくれる?」
 ルイが、私と目線を会わせるように、少し腰を曲げて聞いてきた。