集団だから誰を見ているのかは分からないけど、レオは明らかにその中の誰かを見ている。
 次々とそいつらが俺たちとすれ違っていくなか、レオは通りすぎようとしたある女のコの肩に手をかけた。
 「チェルシー!」
 「へ、その子が?」
 チェルシーと呼ばれた子は、無表情で振り返る。
 眼鏡に、黒くてながーいお下げ髪。
 茶色くて感情のこもってない瞳も、前髪でほとんど見えない。
 …レオのいう通り、すっごく暗い。
 ホントにこれが美人に変身するのか、疑ってしまう。
 「……離して下さい」
 その子が、ポツリと言った。
 レオにこんなこと言うとか、たくさんの女子に恨まれそう(笑)
 話に聞いていた通り、面白いかも☆
 「あー、ごめん。」
 パッと手を離すレオ。
 「……何の用?」
 「見かけたから…」
 レオが最後の方はとても小さい声で答えた。
 すると、その子はやっぱり感情の
ない顔、声で、言い放つ。
 「…関わらないでって言ったハズ」
 な、なんてはっきり言うんだ!
 暗そうだけど、おどおどしてるどころか、こっちがたじろぐくらいストレートだ!
 うん。いいね、面白い☆
 「ねぇねぇ、君チェルシーちゃんだよね?」
 「………」
 「あれ、無視?まーいいや。ラナが君の事すごい誉めまくってたよ(笑)
 俺はルイね。レオの心友☆」
 「……だから何?」
 おう!
 すごいなこの子!
 人を拒絶しまくる感じ!
 「うーん、俺達はただ、君と仲良くなりたいだけなんだよね~…
 そんなに俺たちのこと嫌?」