「可愛かったんだ?」
 「……まぁ、そうだな」
 レオがそんなことを言うなんて珍しい。
 俺も見たいな。その姿。
 「ふわふわしたピンクの髪でさ。
 すげぇ顔も整ってた。
 やっぱり無表情だったけどさ、
 変装してるときと全然違うんだよ。
 目の色だって、隠す理由が分かった。
 綺麗な水色をしてるんだ。
 ホントに、表情ないし人形みたいだった…」
 「…へぇ」
 レオがそこまで言うなんてな。
 それにしても、一体可愛いのに隠すなんてどんな理由があるんだよ、チェルシーちゃん…
 「それと、そのときも歌を歌ってたんだけどさ、そいつが、笑ってたんだ」
 「は?なんでそんなんですごいの?」
 「いつもは、本当に無表情なんだ。
 ラナも驚いてたし。
 でもさ、そいつ、どこか遠くを見てた。
 きっと、なにかを思い出して微笑んでたんだよ。
 その証拠に、歌を止めたと思ったら、すぐ無表情になってさ。
 しかも、目が悲しそうな感じだった」
 「へぇ。その子、ホントに何者なんだろうね?」
 「しかもさ、そいつが歌うと、魔法がかかるみたいだ」
 「…は?!そんなの聞いたこともないよ?!」
 俺は、つい立ち上がってしまう。
 歌で魔法が発動とか、今まで一度も聞いたこと無い…