必死に言葉を探しているようなレオ。
 「それで、なに?」
 「あ~、その、正直、言うとな、
 すんげぇ暗そうな女が居たんだよ」
 「…え?」
 「だよな、そうなるよな。
 俺もビックリした。歌はすごく綺麗だったから、なんとなく期待してたのかもな」
 レオの口からそんな言葉が出てくるとはね。
 レオも女の子に期待とかするんだ。
 「んで、結局その子が歌ってたの?」
 「あぁ。ただ、俺が聞いても、そいつ、何も言わなかったんだ。顔も表情が無くて。
 でも、呟くように答えた。
 『私が歌ってた』って。
 あと、Eクラス、っつってた。
 ただ、不思議だったんだよ。
 ずっと魔力の気配がしてるから。
 そしたら、そいつがやっぱり原因だった」
 「それは、ラナが言ってた、目の色の事?」
 「あぁ。ラナから話を聞いたとき、それで俺はアイツかも、って思った。
 そいつは、チェルシーって名乗った。
 俺が、なんで目の色を変えんのかきいたら、あなたに関係ないって言われた」
 「…それは、なんというか…すごい子だね」
 「だろ?しかも、そのあと急に、わざと成績最下位になってる、って言い出して。
 その前は関係ないとか言ってたのに。だから、俺がなんで話したのかきいたら、そいつ、『分からない』っつったんだよ」