でも、時既に遅し。
 彼女は、満面の笑みで、お礼を告げてくる。
 「ありがとうございます!私頭が回らなくて…。確かに、あの人達に私がバケモノに見えるような魔法をかけていれば、済んだことですよね!それにしても、常に魔法を使っているなんて、凄いです!」
 「………」
 きっと私、外見は無表情だろうけど、内心、とってもパニック状態です。
 最後の一言…さらっと言われたけど、何で分かって…
 「あなた、本当はとっても綺麗なマリンブルーの瞳なのに、どうしてわざわざ茶色に変えているの?」
 「……え…と」
 魔法の重複ができない故の失態。
 私の瞳をまじまじと見ていた彼女は、さらにどんどん私の秘密を暴いてしまう。
 「…あら?よく見たら、あなたの眼鏡、度が入ってないのね?でも肌はスゴい綺麗だし…あなた、普段は変装でもしてるの?」
 運良くウィッグには気づかれなかったが、これ以上観察されると、ばれる可能性もある。
 ここまでばれては隠しようが無いので、変装に関しては否定しないことにした。