それは、Sクラスの、残りの一人。
 その名前だった。
 それが本当なら、彼女もまた、恋のお悩み中な筈で、先程の、
 あなた`も'、悩み事?
 が、それは正しいと裏付けている。
 「……あなたは何に悩んでるのですか?」
 「…………同じだと思う」
 「…私とですか」
 私は何も言わず、彼女を見つめた。
 きっと、この子は分かると思ったから。
 そう思った通り、エヴァはため息をつくと、うっすらと、投げやりにも思える笑いを浮かべた。
「分かるのですね。あなたも、私と同じだから」
そう。きっとそう。
お互い、叶わない恋をしている。
この人には、この人だから、話したくなった。
でも、私はそれを出来ない。
それを話すなら、過去を全て話さなければならないから。
すると、彼女はわたしの隣に座ってきた。
 そして、私の目をじっと見た。
 「……聞いて、くれますか?」
 「………」
 私は黙って、頷いた。