【短】チョコにとかして




いつの間にか立ち止まってしまっていた私の隣で、のんちゃんが心配そうに覗き込んでいた。




「…ごめん、大丈夫、」


ウチん家くる?というのんちゃんの言葉に素直に頷いて、私たちはまた足を動かした。




それで、とのんちゃんの吐き出した息が白く凍る。



「その彼氏さんとは、別れんの?」



どくん、と心臓が音を立てる。

2月の空気を吸い込んだ肺が痛い。




「……わ、かれちゃおっかな。」


自分で言ったことなのに、胸にナイフが刺さったみたいになって、上手く息が吸えない。


胸に″なにか″がつかえて、涙が出そうになった。







「ふーん。」


「あれ。止めないのね?」



すんなり納得したのんちゃんに、私は目を丸くする。



「だって、それが詩帆の決めたことなんやろ?じゃあウチは止めへん!」