いつの間にか立ち止まってしまっていた私の隣で、のんちゃんが心配そうに覗き込んでいた。
「…ごめん、大丈夫、」
ウチん家くる?というのんちゃんの言葉に素直に頷いて、私たちはまた足を動かした。
それで、とのんちゃんの吐き出した息が白く凍る。
「その彼氏さんとは、別れんの?」
どくん、と心臓が音を立てる。
2月の空気を吸い込んだ肺が痛い。
「……わ、かれちゃおっかな。」
自分で言ったことなのに、胸にナイフが刺さったみたいになって、上手く息が吸えない。
胸に″なにか″がつかえて、涙が出そうになった。
「ふーん。」
「あれ。止めないのね?」
すんなり納得したのんちゃんに、私は目を丸くする。
「だって、それが詩帆の決めたことなんやろ?じゃあウチは止めへん!」



