「うわぁ、甘っ!」
これ、本当に俺用?と顔をしかめる爽の横で、私は「……だって」と視線を落とす。
「…受け取ってもらえるなんて、思ってなかったんだもん。」
自分で食べようと思ってた。
白状すると、爽は「食べるよ。」と笑った。
「…本当は、チョコ作ってくれる時間があったなら、1秒でも早く俺に会いに来てほしかったけど。」
「っっっ!!!」
なんか、珍しく爽が素直!!
何か、変なものでも食べたんだろうか。
もしや私のチョk…いや、やめておこう。
悶々としていると、今度は強く抱き寄せられる。
爽の吐息がかかって、くすぐったい。
「詩帆。学校卒業したらさ、東京に帰っておいでよ。
それで、……一緒に、暮らそう。」
囁くように言われたそれが、ストンと胸に落ちてきて、一筋だけ涙がこぼれた。



