【短】チョコにとかして






視線を落とすと、爽の両手が頬に触れて、強制的に目が合う姿勢にされる。



「俺は別に、超能力が使えるわけじゃないんだよ。」


「?…うん。」

「言ってくれなきゃ、わからない。」


「っ、」



また視界が霞んで、私は爽から一歩離れた。




「…不安、だよ。本当は、いつも不安だった。
遠距離になる分、互いの状況がわからなくなって、今日会うために、一体何ヶ月頑張った?

……別に、束縛したいわけじゃない。
でも、離れた分だけ心も遠くなっちゃう気がして、怖いの…っ」


「……っ、うん。」




言い終わる前に、優しく抱きしめられる。


懐かしく愛しい香りが、私の涙腺を更に刺激して、爽のコートを濡らす。



「なぁ、詩帆。……チョコレート出して。」

「え」

「いいから。」



早く、と急かされるままに、私は再度バッグからチョコを取り出す。


しぶしぶ渡すと、爽はラッピングを解いて、トリュフ型のそれを口に放り込んだ。