これは、最後の賭け。
チョコレートを受け取ってくれたら、別れない。
……でも。
チョコレートを受け取ってくれなかったらーーーー…………
「これ、…チョコレート?」
私の思考を遮るように、爽から声がかかる。
「…そう…だよ。」
私は、ちゃんと笑えているかな。
……震える指先は、きっと寒さのせいだけじゃない。
次にくる爽の反応を、ただひたすら待つ。
「…詩帆、俺が甘いもの苦手だってこと、忘れたわけじゃないよね?」
「…っ……………………うん。」
知ってるなら、なんで作ったの。
そう問いかける爽に、ビクリと肩が跳ねる。
ーーーーーもう、だめだ。
返事はNOだった。
ねぇ、爽。私たち、もう十分頑張ったよ。
…もう、いいでしょう?
私は好き。爽が好き。
………でも、爽は…????
チョコレートをしまう手が、ぼやける。
今だけは爽に顔を見られたくなくて、俯いた。
「ねぇ、爽。私たち…別れよっか。」
「………は?」



