祓魔師陛下と銀髪紫眼の娘―甘く飼い慣らされる日々の先に―

「同じ悪魔でも色々いるのさ。この前みたいに契約に違反したり、好き勝手暴れて我々の存在を脅かしたり。お前の手を煩わせてきた者たちだよ」

「なにが言いたい?」

「そういう連中をお前たちに任すと言っているのさ。私も忙しいから、いちいちかまっていられない。そのために見える目が必要だろ」

 いまいち信用しきれない瞳でヴィルヘルムはルシフェルを睨めつけた。するとルシフェルは降参を表すかのように軽く両手をあげる。そしてリラに目を向けた。

「リラ、こんなこと気まぐれでも滅多にしないんだが、お前の王に対する気持ちを汲んでやろう」

「ルシフェル」

 リラはなんとも言えない気持ちでルシフェルを見つめる。

「ヴィルヘルム王、近々、西に赴いてもらおう。下級で形振り構わない連中が、大量に呼び出されている。個人の契約にしては数が異常だ」

 ルシフェルの指示にヴィルヘルムは苦虫を噛み潰したような顔になった。眉間に皺を寄せたまま、嫌々そうに口を開く。

「私はお前らのことなんて信用しないし、手を貸し合うつもりもない。お前も手を出してくるなら容赦はしない。だが……リラの瞳のことは感謝する」

 苦々しく告げると、ルシフェルはふっと微笑んでその場から姿を消した。しばらく部屋に重たい沈黙の幕が下りる。口火を切ったのはヴィルヘルムの方だった。